プードルの外耳炎|見分け方、治療、繰り返さないための考え方
The Poodle Guide 編集部 · 更新日: 2026年11月2日

プードルが最近よく頭を振る、後ろ足で耳をかく、耳を持ち上げると嫌なにおいがする。そんなときは外耳炎の可能性が高いです。犬が動物病院を受診する理由として最も多いものの一つで、プードルはかかりやすい犬種として知られています。この記事では、見分け方、病院での流れ、そして炎症そのものが「話の半分」にすぎないことが多い理由を解説します。日頃のケアはプードルの耳掃除と耳のケアをご覧ください。
なぜプードルは外耳炎になりやすいのか
英国のロイヤル・ヴェテリナリー・カレッジ(VetCompass)が、一次診療の動物病院で診察された犬2万2,333頭の記録を調べました。1年間に外耳炎と診断された犬は7.3%で、約14頭に1頭です。プードル種全体のリスクは、プードル以外の犬種の約1.9倍でした。耳の形も影響し、垂れ耳は立ち耳の約1.8倍のリスクでした。
プードルでは二つの要因が重なります。耳たぶが耳道の入り口にかぶさり、耳道の中には毛が生えているため、中が温かく、風通しが悪くなります。そこへ水遊びやシャンプーのあとの湿気が加わると、酵母や細菌が増えやすくなります。このリスクはトイからスタンダードまで、どのサイズのプードルにも当てはまります。
外耳炎のサイン
- 頻繁に頭を振る、ソファや床に頭をこすりつける。
- 耳をかく。痛くて鳴くこともある。
- 酸っぱい、酵母のような、甘いにおいがする。
- 耳の中が赤く腫れる、茶色や黄色の耳垢、湿った分泌物がある。
- 耳を触ろうとすると嫌がる、うなる。
頭が傾く、ふらつく、ぐるぐる回る場合は、炎症が中耳や内耳まで及んでいるかもしれません。その日のうちに動物病院へ連絡してください。耳たぶが厚くやわらかく腫れているときは、頭を振ったりかいたりして血がたまる耳血腫のことが多く、これも受診が必要です。迷ったときは、まず健康チェックを目安にしてください。
動物病院での検査と治療
獣医師は耳鏡で耳道をのぞき、草の種やミミヒゼンダニなど異物がないか、鼓膜が無事かを確認します。鼓膜に穴があると使えない点耳薬が多いため、これは大切な確認です。耳垢を少し採って顕微鏡で調べる耳垢検査も行われ、酵母(多くはマラセチア)と細菌のどちらが主役かが分かり、薬の選択が決まります。
治療は耳の洗浄と点耳薬が中心です。痛みが強く腫れた耳は、鎮静をかけないときれいに洗えないこともあります。症状が軽くなっても、処方された分は最後まで使い切り、指示された再診にも行ってください。自己判断の民間療法や、前回の残りの薬を使うのは避けましょう。
炎症は「症状」であることが多い
獣医師は外耳炎を四つの層で考えます。炎症を始める主因、続いて起きる二次感染(酵母と細菌)、起こりやすくする素因(垂れ耳、耳道の毛、湿気)、長引いたときに悪化を続けさせる持続因子です。点耳薬が効くのは主に二次感染です。主因が残っていれば、炎症は戻ってきます。
主因として最も多いのはアレルギーで、ハウスダストマイトや花粉などの環境要因と、フードの原材料(アトピー性皮膚炎と食物アレルギー)があります。犬100頭の調査では、アレルギーが43頭、草の種が12頭、耳ダニが7頭でした。足をなめる、かじる、お腹やわきの下をかくなど、耳以外のサインもあればアレルギーを疑います。
食物アレルギーが疑われる場合は、除去食試験で確かめます。これまで食べたことのないタンパク源か療法食だけを少なくとも8週間与え、その後に元のフードに戻して症状が再発するかを見ます。血液や唾液による食物アレルギー検査は、この目的には信頼できません。
日本のデータでは、外耳炎は上位の病気
アニコムの「家庭どうぶつ白書2025」によると、保険請求の多い犬の病気(2023年4月〜2024年3月に契約を始めた犬が対象)で、外耳炎(原因未定)は0〜4歳で3位(請求割合8.1%)、5〜9歳で2位(7.0%)、10歳以上でも4位(5.8%)でした。外耳炎で請求のあった犬の年間診療費は、年齢層によって平均およそ1.8万〜2.9万円、中央値でおよそ1.1万〜1.4万円です。これは保険請求の統計で、すべての犬の発症率ではありません。それでも、繰り返せば通院が重なります。ペット保険の補償範囲は商品で違うため、ペット保険の選び方で約款の確認ポイントを見ておくと安心です。
受診の前に、いつから気づいたか、耳垢の色やにおいの変化、頭を振る回数、いま食べているフードやおやつをメモしておくと、原因探しの助けになります。
長引かせない理由
繰り返す、あるいはくすぶり続ける外耳炎は、耳道の状態を変えてしまいます。皮膚が厚くなり、耳道が狭くなり、やがて石灰化することもあります。そうなると耳を十分に洗えず、薬も効きにくくなります。最終的には、耳道全体を切除する手術(全耳道切除術、TECA)しか選択肢が残らないことがあり、聴力は低下しますが、完全に失われるわけではありません。早めに受診して原因に向き合えば、そこまで進むことはほとんどありません。
自宅でできる予防
- 週1回、見てにおいを確かめる。健康な耳は淡いピンク色で、きれいでにおいがありません。
- 水に濡れたら乾かす。水遊びやシャンプーのあとは、耳たぶをタオルでそっと押さえて乾かします。
- 掃除のしすぎに注意。きれいな耳は触らず、綿棒は耳道に入れません。
- 耳毛は相談してから。耳の入り口まわりのカットは、トリミングの一部です。毛を抜くことには議論があり、トリマーや獣医師の助言があるときだけ行います。
- 耳に触られる練習を。普段から耳に触れてほめておくと、検査や点耳がスムーズです。
- 繰り返すなら原因を探す。年に2〜3回の外耳炎は不運ではなく、サインです。
耳のトラブルは、この犬種でよく知られた注意点の一つです。全体像はトイプードルの健康で確認できます。
まとめ
- プードル種は、ほかの犬種の約1.9倍、外耳炎になりやすい。
- サインは、頭を振る、かく、においがする、赤み、分泌物、痛がる。
- 頭が傾く、ふらつくときは、その日のうちに受診。
- 自己判断で点耳薬を使わない。先に鼓膜の確認が必要。
- 良くなって見えても、処方は使い切り、再診に行く。
- 繰り返すなら、背景のアレルギーを疑う。




