プードルのしっぽ|断尾の現状・犬種標準・お手入れと受診の目安
The Poodle Guide 編集部 · 更新日: 2026年10月5日

日本で見かけるプードルには、先端にポンポンのついた短いしっぽの子が少なくありません。一方、海外の写真やドッグショーでは、長くふさふさしたしっぽを高く上げたプードルが当たり前になっています。この違いは犬種の違いでも、サイズの違いでもありません。生まれて間もないころに断尾されたかどうかの違いです。トイからスタンダードまで4サイズすべてに共通する話として、編集部が断尾の現状、犬種標準の中身、しっぽのお手入れと受診の目安を整理します。
日本の断尾の現状:法律による禁止はない
日本には、犬の断尾を禁止する法律はありません。日本獣医師会の理事は報道機関のインタビューで、断尾は小型犬ではトイプードルなどで行われていること、獣医師が生後1週間以内に麻酔なしで行う場合のほか、ブリーダーが行う場合もあることを説明しています。そのうえで、ペットの犬には断尾のメリットも必要性もなく、子犬でも痛みを感じている可能性があるとして、日本獣医師会として断尾・断耳には反対という考えを示しています。
もともと断尾は、猟犬や牧羊犬がけがをしないための習慣でした。役割が変わった今、ヨーロッパの多くの国では医療上の理由がない断尾は禁止されています。たとえばオランダでは2001年から、ベルギーでは2006年から禁止です。日本は、こうした国々とは状況が大きく異なるといえます。
犬種標準が求めるしっぽ
日本のジャパンケネルクラブ(JKC)は国際畜犬連盟(FCI)に加盟しており、プードルの犬種標準もFCIのものに基づいています。インターネット上には「しっぽは3分の1から2分の1に断尾する」という説明が今も残っていますが、それは古い版の記述です。現在のFCI犬種標準(No.172、2024年3月20日版)は、断尾をもはや認めないと明記したうえで、しっぽについて次のように定めています。
- 腰の高さに、かなり高く付いている。
- 背線に対して時計の「9時10分」の角度、つまり斜め上に保つのが理想。
- 付き位置が低すぎるしっぽは重大な欠点。
- しっぽがない、または生まれつき短いしっぽと、完全に巻いたしっぽは失格。
現在の標準には、断尾についての記述そのものがありません。これは4つのサイズすべてに共通です。健康なプードルのしっぽは、根元から元気に立ち上がり、軽くカーブすることはあっても、背中の上にくるりと巻き込むことはありません。
断尾済みの子犬を迎えるときに考えたいこと
日本では断尾が違法ではないため、短いしっぽだけで悪質な業者と判断することはできません。ただ、断尾は見た目のための習慣であり、犬にとって必要な処置ではないという点は知っておきたいところです。しっぽを残すかどうかを相談できるブリーダーや、親犬の健康検査(膝蓋骨脱臼、眼の検査、DNA検査)の結果をきちんと示せるブリーダーは、犬の福祉を真剣に考えている目安になります。日本では動物愛護管理法により、生後56日を過ぎないと子犬を販売できません。月齢、親犬、飼育環境を自分の目で確かめられるかどうかも大切です。詳しくはトイプードルの迎え方とブリーダーの選び方をご覧ください。
しっぽが伝える気持ち
しっぽは犬どうしの大切なコミュニケーション手段です。カナダ・ビクトリア大学の研究者(Leaver・Reimchen、2008年)は、実物大の犬のロボットを使い、ノーリードの犬492頭の反応を調べました。ロボットのしっぽが長いときは、しっぽを振っているか止まっているかで犬たちの反応がはっきり変わりましたが、短いしっぽではその違いが見られませんでした。長いしっぽのほうが、合図を相手に伝えやすいということです。
ただし、しっぽを振っていれば喜んでいる、とは限りません。しっぽを振るのは、主に興奮しているときや相手と関わろうとしているときです。「9時10分」の位置でゆったり揺れるしっぽと、体をこわばらせたまま高く固く上げたしっぽでは意味が違います。花火の音などでおびえたときは、しっぽが後ろ足のあいだに入り込みます。しっぽだけでなく、耳、目、姿勢など全身を合わせて読み取りましょう。
しっぽのお手入れ
しっぽの毛も体と同じように伸び続け、特に根元は毛玉ができやすい場所です。ふだんのブラッシングでしっぽも忘れずに。スリッカーブラシで毛の層を少しずつ分けながらとかし、最後にコームが皮膚まで通るかを確かめます。全身の手順はプードルのグルーミングにまとめています。
サイズによって手間も変わります。トイやミニチュアのしっぽは細く、毛玉が小さいうちに気づけば指先でほどけることもあります。ミディアムやスタンダードは毛量が多く、根元の奥で毛がフェルト状に固まっても外からは見えにくいので、しっぽを軽く持ち上げて根元側からとかすのがコツです。シャンプーのあとは、しっぽの根元まで完全に乾かすことも忘れないでください。
しっぽの形はトリミングで決まります。犬種標準のライオンクリップでは、しっぽは先端の丸いか楕円のポンポンを残して刈り込みます。人気のテディベアカットやパピークリップでは、ふさふさの飾り毛を残すのが一般的で、根元だけ短くすることもあります。サロンでは、しっぽをどう仕上げたいかを別に伝えておくと安心です。カットの種類はテディベアカットとプードルのカットを参考にしてください。
しっぽの下側も短く清潔に保ちましょう。肛門まわりの毛が長いと汚れが付きやすく、毛玉にもなります。トリミングの合間は先の丸いハサミで少し整える程度にし、あとはトリマーに任せます。
動物病院に相談したいサイン
- お尻を床にこすりつける、しっぽの下をしきりになめる。多くは肛門腺が原因です。詳しくはプードルの肛門腺を。
- しっぽが急に垂れたまま上がらない、根元に触ると痛がる。
- しっぽに傷、脱毛、しこりがある、自分のしっぽを何度もかむ。
- 転んだり、ドアに挟んだりしたあとに、しっぽが不自然に曲がっている。
迷ったときは、早めに診てもらうほうが安心です。
まとめ
- 日本に断尾を禁止する法律はないが、日本獣医師会は美容目的の断尾・断耳に反対している。
- 現在のFCI犬種標準は断尾を認めておらず、しっぽは高く付いて「9時10分」の角度が理想。しっぽがない、または生まれつき短いしっぽは失格。
- 子犬を迎えるときは、しっぽの扱いや親犬の健康検査について相談できるブリーダーを選ぶ。
- 長いしっぽは合図を伝えやすい。しっぽを振る=喜び、とは限らないので全身で読み取る。
- しっぽも皮膚までブラッシングし、下側は清潔に。お尻をこする様子があれば受診を。




