プードルの毛質が変わる時期|子犬の毛から大人の毛へ
The Poodle Guide 編集部 · 更新日: 2026年8月3日

ふわふわで、放っておいてもほとんど絡まなかった子犬の被毛。それがある時期を境に、毎日どこかに小さな毛玉ができるようになります。サロンで「そろそろ毛が変わる時期ですね」と言われて、はじめて気づく飼い主さんも少なくありません。これは子犬の毛(パピーコート)から大人の毛(アダルトコート)への生え替わりで、プードルであればサイズを問わず全頭が通る道です。病気でもお手入れの失敗でもありませんが、犬の一生でもっとも毛玉ができやすい数か月であることは確かです。
被毛の中で起きていること
柴犬やコーギーのようなダブルコートの犬種は、換毛期に下毛がごっそり抜けて床に落ちます。プードルは違います。被毛は一層で、人の髪のように伸び続けます。抜けた毛がないわけではなく、皮膚からは離れているのに、周りの巻き毛に引っかかったまま外に出ていかないのです。抜け毛が少なく室内が汚れにくいと言われるのは、このためです。
毛質が変わる時期には、これが一斉に起こります。やわらかく綿のような子犬の毛が大量に抜け、その下から、コシのある巻きの強い大人の毛が伸びてくる。抜けた子犬の毛は、その新しい巻き毛の中に丸ごと留まります。抜けた毛と生えている毛が混ざり、そこに日々の動きが加わる。これはフェルトを作る工程そのものです。だからこの数か月だけは前後の時期と比べものにならない速さで毛玉ができ、一週間放置した被毛は手ではもう戻せないことがあります。
始まる時期はサイズによって違います
ジャパンケネルクラブ(JKC)はプードルをトイ、ミニチュア、ミディアム、スタンダードの4サイズに分けています。毛質が変わる時期は、この体格差におおよそ比例します。
- トイプードル(2〜4.5kg)とミニチュアプードル(4〜7kg):生後9か月前後に始まることが多く、実際には8〜12か月ごろに幅があります。
- ミディアムプードル(9〜13kg)とスタンダードプードル(20〜30kg):もう少し遅く、9〜16か月ごろ。大型になるほど後ろにずれる傾向があります。
もっとも激しい時期は2〜4か月ほど。そこを越えれば山は過ぎますが、被毛の質そのものは生後18〜24か月ごろまでゆっくり変わり続けます。ただし、これはあくまで目安です。個体差が大きく、カレンダーで管理できるものではありません。サイズごとの違いはプードルの種類とサイズで、日本で圧倒的多数を占めるトイサイズについてはトイプードルとはで紹介しています。
変化が始まったサイン
- 手ざわりが変わる。やわらかく綿のような手ざわりから、しっかりとして少し乾いた、弾力のある巻き毛へ。
- ブラシに毛が付く。これまでほとんど取れなかった毛が、目に見えて絡んで出てきます。
- 決まった場所に毛玉。耳の後ろ、脇の下、後ろ足の内側、首輪の当たる部分、しっぽの付け根。いずれも摩擦の起きる場所です。
- 毛色が変化する。アプリコットは淡くなることが多く、ブラックはグレーがかったり、逆に深みが増したりします。
- トリミングの時間が延びる。「毛玉が多かったです」とサロンで言われるようになります。
この時期を乗り切るブラッシング
基本はとてもシンプルです。毎日、皮膚まで届かせること。普段なら週に数回でも足りますが、今は一日で毛玉ができます。続けていれば1回5〜10分で終わります。
頻度より大切なのが方法です。よくある失敗は、被毛の表面をなでるようにブラシを滑らせること。ブラッシングをした気分にはなりますが、下では毛玉が育ち続けます。そうではなく、一層ずつ進めます。片手で被毛を上に押さえて皮膚が見える線を作り、その一層だけをスリッカーブラシで根元から外に向かってとかす。とかし終えたら次の一層を下ろし、そうやって体全体を下から上へ進めていきます。
仕上げの確認は金属製のコームで行います。スリッカーブラシは毛玉の上を滑って通り過ぎてしまいますが、コームは引っかかって止まります。どこも引っかからず、コームの先が全身どこでも皮膚に届くなら終了です。引っかかる場所があれば、そこには今ならまだほぐせる毛玉があります。三日後にはもうほぐせません。
毛玉を見つけても、引っ張ってはいけません。皮膚のすぐそばで毛の根元を押さえ、皮膚を引っぱらないようにしたうえで、毛玉の外側から少しずつ指でほぐします。ほぐし用のスプレーを使うと摩擦が減り、犬の負担も軽くなります。皮膚に張りついて動かない毛玉は、無理をせずサロンに任せてください。体重2〜4.5kgのトイプードルの皮膚は、思っている以上に薄く、被毛のすぐ下にあります。ハサミで毛玉を切ろうとして皮膚を切ってしまう事故は、動物病院では珍しい話ではありません。
梅雨から残暑にかけての高温多湿な時期は、湿気を含んだ被毛がいっそう絡みやすくなります。散歩や水遊びのあとは生乾きのまま放置せず、根元までしっかり乾かしてからブラッシングを。日々のお手入れ全般はプードルのトリミングにまとめています。
短くカットするという選択
この時期、トリマーさんから短めのカットを提案されることがあります。売り込みではありません。毛が短ければ絡む長さそのものが減り、毎日のケアは数分で終わり、問題も早く見つかります。テディベアカットのような長さを残すスタイルを続けたいなら、それも可能です。ただしその場合、毎日の一層ずつのブラッシングはアドバイスではなく条件になります。ラムカットやサマーカットのように短めのスタイルへ一時的に切り替える手もあります。
この数か月は、6〜8週間ごとというサロンの間隔も崩さないでください。予約のときに「今、毛が変わる時期です」と一言伝えておくと、トリマーさんの準備が変わります。避けたいのは「この前カットしたばかりだから」と先延ばしにすることです。この時期の8週間は、普段の4か月分よりも被毛の状態を悪くします。全身がフェルト状になってしまえば、トリマーさんに残された選択肢はバリカンで短く刈ることだけ。それが唯一、犬に痛みを与えない方法だからです。毛量の多いスタンダードプードルでも同じで、毛はまた伸びますので失うものはありません。
まとめ
- 毛質の変化はトイとミニチュアで生後9か月前後、ミディアムとスタンダードは9〜16か月ごろに始まる。
- 激しい時期は2〜4か月、被毛の成熟は18〜24か月ごろまで続く。
- 抜けた子犬の毛が落ちずに新しい巻き毛に留まるため、この時期だけ毛玉が急増する。
- 毎日、一層ずつ皮膚まで届くブラッシングを。仕上げは金属製のコームで確認する。
- 毛玉は引っ張らない。皮膚のそばの毛玉を自分でハサミで切らない。
- 短めのカットは妥協ではなく、いちばんラクな乗り切り方。毛はまた伸びる。




